B2C・大量顧客だからこそ活きる「MA(マーケティングオートメーション)」の真価と自動化実例

B2C・大量顧客だからこそ活きる「MA(マーケティングオートメーション)」の真価と自動化実例

「MAを入れれば、マーケティングが強くなる」という誤解

「うちの会社はマーケティングが弱いから、MA(マーケティングオートメーション)ツールを入れて強化したいんだよね」——以前、ある中小企業の社長からそんな相談を受けたことがあります。

詳しくお話を伺うべく「現在、どのようなマーケティング施策を行っているのですか?」と尋ねてみました。すると返ってきたのは「いや、基本的には営業担当が定期的に顧客を回っているくらいで……」という言葉でした。

それはマーケティングではなく、単なる「営業活動の巡回」です。そもそもマーケティングの仕組み自体が存在していなかったのです。

しかし、このように「MAという魔法のツールを導入すれば、自動的にマーケティング体制が構築され、売上が伸びる」と勘違いしている経営者は少なくありません。MA導入で失敗しないためには、まずこの根本的な認識を改める必要があります。

中小企業にMAは本当に必要か?自社プロセスの再点検

そもそも、多くのB2C中小企業において、いきなりMAが必要になる局面は多くありません。ターゲット顧客が限定的であれば、営業担当が泥臭く定期訪問や電話フォローを行うスタイルの方が、遥かに成果に繋がるからです。

MAが爆発的な真価を発揮するのは、Eコマース(EC)の展開などによって「顧客の規模が急激に拡大したとき」に限られます。顧客数が少ない段階で高価なMAツールを入れても、費用の無駄遣いに終わるのが関の山です。

ツールに手を出す前に絶対にやるべきこと。それは「集客から受注・追客に至る社内プロセスを人力で完成させること」です。

集客経路はWebなのか、折込チラシやTV広告なのか。受付窓口はWebフォームか、電話対応か。たとえば高齢者向け商品なら、電話受付を中心に据え、外部コールセンターをアウトソーシング活用して顧客情報をデータ化する設計が求められます。まずは手作業で運用回せる「型」を作ることが最優先です。

人力で回した「泥臭いプロセス」を自動化するのがMAの真髄

「広告出稿→サンプル申し込み→一定期間後の電話やメールによる追客→期限付きキャンペーン提案」という一連の追客フローを確立できたら、初期段階ではExcelなどを使い、人力で泥臭く運用してみます。この手作業のプロセスで確実に成果が出ると検証できて初めて、MAの出番となります。

MAの主要機能は、これまで人間が工夫して手作業で行っていた業務を代替するものです。

  • リード管理・タグ付け: 属性や行動履歴で顧客を自動グループ化
  • ワークフロー設計: 「問合せ1ヶ月後にフォロー」等のシナリオ自動化
  • クロスチャネル配信: メールやLINEなどを最適に組み合わせた追客
  • 行動トラッキング・スコアリング: サイト閲覧履歴から購買意欲を点数化

これらによって、人力では不可能な「適切なタイミング・適切なチャネル・適切なメッセージ」の大量配信が可能になります。MAの真髄とは、手作業で作った成果の出るプロセスを「速く・安く・大量に自動化すること」にあるのです。

ツール導入は「規模の拡大」を迎えたその時に

これまでお話ししてきた論理を整理しましょう。

  1. MAはマーケティングを「ゼロから生み出すツール」ではない
  2. まずは「集客〜追客プロセス」を自前で作る(初期はExcelや人力でOK)
  3. 人力での対応に限界が来たタイミングで、初めてMAで「自動化・スケール」させる

「MAを導入すればマーケティングが強くなる」のではなく、「強固なマーケティングプロセスを大量処理するためにMAを使う」のが正しい順序です。

もし現在、自社のマーケティング体制に課題を感じているのであれば、ツールを探す前に、まずは自社の「顧客アプローチのプロセス」が泥臭くても完成しているかを見直してみてください。仕組みさえできあがっていれば、それをMAに乗せたとき、自社のビジネスは劇的な成長を果たすはずです。